羊飼いの季節

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季節柄、あの日のことを思い出しました。取材で訪れていた南フランスのプロヴァンス地方を車で走っていたら、こんな羊たちの群れに遭遇したのです。確か、Castellane/カステラーヌというショダンヌ湖のそばの小さな町のあたり。先頭で、賢そうな犬が仕切っていました(コレホント)。時々、羊飼いが馬に乗って現れ、その犬たちに指示を与えます。ほんとうに、クリスマスの直前のことでした。

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こんな近さで。思わずみんな歓声をあげて車を降りました(というより、車が羊に囲まれて前に進めません)。

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さっきまでの私がこんな風でした。この場面は、案内してくれた観光局のニコールが次に取り囲まれているの図。東京にいる時間の感覚とはまったく違います。ゆったりとした羊の歩調を、止まったような時間の中でじっくり味わいました。この日は、夕闇を待って夜景を撮るためにスタンバイしていた丘の上でもまた別の羊の群れに出会いました。東京では出会えない、童話の世界ですね。でも、羊が歩くのは、ほんと、おりこう! な舗装された道路だし、羊飼いは半ズボン(!)の子供ではありません。

聖書で羊飼いは、イエス・キリストが生まれたことを最初に知らされます。イタリアのマニエリスム期の天才画家、コレッジョが描いた『羊飼いの礼拝 ラ・ノッテ(夜)』(油彩・1529〜1530年)という絵には、ベツレヘムの厩(うまや)に羊飼いを案内した天使や、幼子イエスを抱き、光に包まれたマリアが描かれています。

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こうなると、『聖母子と聖ヒエロニムス, マグダラのマリア(昼)』のことに触れないわけにはいきません。娼婦の身を悔い改めイエスに心頭したとされるマグダラのマリアも描かれた「昼」です。上記の絵の2年前に描かれています。コレッジョの身になにがあったのでしょう。

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なにやら宗教の話になってしまいました。今日はクリスマス10日前です。


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