100ans

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世界は、人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう……。著書『悲しき熱帯(原題:Tristes tropiques)』のなかでレヴィ=ストロースはこう語ったといいます。10月30 日、御歳なんと100で召されたフランスの社会人類学者です。

世界の終わりを想像できるのは思想家だけでしょう(あー、そもそも、思想家なんて商売は現代にあるのかしら)。普通の人間には無理……。レヴィ=ストロース逝去については書きあぐねていたのですが、週刊文春の記事に上の言葉があり、それがきっかけで書くことにしました。クロード・レヴィ=ストロース(Claude Lévi-Strauss, 1908年11月28日 〜2009年10月30 日)はフランスの社会人類学者、思想家。構造主義を掲げたことで知られています。ある現象は、網の目のように連結した全体の構造を見ることでより理解が深まる。そして、ひとつが変異を起すとそれが全体にも影響を及ぼす……。

その思想は、サルトルの実存主義と対決し、「構造主義が勝利を収めた」、とされています。カフェ・ド・フロールあたりで日々、論戦が交わされたのでしょうか。ジャン=ポール・サルトル(1905年〜1980年)、シモーヌ・ド・ボーヴォワール(1908年〜1986年)、アンドレ・マルロー(1901年〜1976年)たちと同世代、構造主義を引き継いだ次の世代には、ミシェル・フーコー(1926年〜1984年)、ロラン・バルト(1915年〜1980年)がいます。時代を濃厚に生きたこれらの思想家、哲学者はもうとっくに亡くなっていました。

レヴィ=ストロースは、ベルギー・ブリュッセル生まれのユダヤ系フランス人でした。1935年にブラジルへ渡り、サンパウロ大学の教授となり、アマゾン先住民と熱帯雨林を研究しました。『悲しき熱帯』は、その時書かれたものです。

tristes tropiquestristes

1940年にフランスへ帰国、のちにアメリカへ亡命、のちに再び帰国したのは1948年。冒頭の新聞記事はブラジルのものです。

「人口過密になった地球はたいへん居心地が悪い。愛することの難しいこの世界で生涯を閉じるのはとても不安だ」……3年ほど前にインタビューでこう語ったレヴィ=ストロース。彼の死は、この社会にじわじわと影響を与えるのでしょうか。そういう目で、しばらく世界を見てみたいと思います。


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