goodbye!

horst500

アーヴィング・ペン氏が10月7日、92歳で亡くなっていたことを最近になって知りました。20世紀を代表する偉大なフォトグラファーで、特にクリエイティブ業界にいる人間にとっては、別格の存在でした。

撮影中にスタッフの間でよくペンの話をしました。あれはどうやって撮影しているの? ペンみたいな感じのモノクロで!、メイプルソープの花との違いは……などなど。今の日本のファッション雑誌に、これほど影響を与えたフォトグラファーはいないのではないでしょうか。

この写真は、セルフ・ポートレイトかと思ったら、ホルストが51年に撮影したものだそうです。ハンサム!

VOGUEの表紙で有名な帽子をかぶったモデルのカット、ピカソを始めとするセレブリティたちのポートレイト、凍らせたフルーツなどを撮ったスティールライフ、ニューヨークやパリの労働者たちを撮影したシリーズ……あと、大きな脚立を舞台に、たくさんのモデルがいる集合カットなどは、今みたいに“合成”なんかない時代だと思うと奇跡的なショットでした。

ペンのオフィシャル・サイトというのがありました。のぞいてみると、写真集がリストになっているだけの素っ気ないものでした。考えてみれば当然ですが、写真が一枚もありません。

irvingpenn.com

おや、今年発行された写真集もありますね。例の労働者シリーズを一冊にまとめたものでした。ここで何枚か見ることができます。1950年あたりの撮影です。

“Irving Penn: Small Trades”

あらためて略歴を見てみると、あの有名なハーパース・バザーのアートディレクター、ブロドビッチの元で美術を学んでいたのですね。そしてイラストがバザー誌に採用となり、その原稿料でローライを買ったのが写真への道の始まりだったそうです。しかし、目指してるのは画家、その後アレクサンダー・リーバーマンに才能を認められ、ヴォーグ誌で働くことになりました。ある日、思ったような表紙写真が撮れなくて悩んだリバーマンは、ペンに「君が撮影してみたら」と言ったことから、キャリアが始まりました。

私も昔、カメラマンに「じゃあ君が撮れば」と言われたことがあります。撮影中、あれやこれやと注文を出したことにキレたみたいで、そのカメラマンはそう言ってスタジオを出ていってしまいました……。その後、もちろん私は撮影してませんよ。ともかく無事その日のシューティングは終わりました。わー、くだらない話ですみません。

改めて今、ペンの写真を見ても、その美しさと構図の完成度にため息がもれます。この偉大なる存在に、最大限の尊敬と、深い哀悼の意と、永遠の感謝を!


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